合説で強調される「人の思考力」重視の採用哲学
株式会社ディー・アップの合同説明会で最も印象的に語られるのが、同社独自の人材観です。多くの企業がデジタル化を推進する中、同社は一貫して「人」の重要性を強調します。
データ偏重時代における人的創造性の価値

合同説明会において、採用担当者が必ず言及するのが、**「データやネットを駆使しただけでは、人の感性に訴えかけるような製品を生み出すことはできません」**という企業理念です。この発言の背景には、美容業界特有の市場環境があります。
経済産業省の「化粧品産業実態調査」によると、2023年の化粧品市場における新製品投入数は年間約15,000品目に上り、そのうち市場で成功する製品は約8%にとどまっています。この厳しい競争環境において、データ分析だけでは見えない消費者の潜在ニーズを発見する能力が求められているのです。
合説では、この理念を具体化した事例として、主力製品の開発秘話が語られます。特に注目すべきは、「オリシキ」シリーズの開発において、従来の市場調査データでは捉えきれなかった消費者の微細な悩みを発見し、それを技術的に解決した過程です。このプロセスでは、開発担当者が実際に消費者と対話を重ね、表面的なアンケート結果では見えない真のニーズを抽出したことが成功要因として説明されます。
さらに、同社が重視する「人の感性」とは、単なる直感ではなく、論理的思考と感性的理解を統合した総合的な判断力を指していることが明確にされます。これは、美容業界における製品開発が、科学的な機能性と感性的な魅力を両立させる必要があるという特殊性を反映しています。
日本化粧品技術者会の調査によると、化粧品の購入決定要因として「使用感」が85.7%、「効果実感」が82.3%を占めており、これらの要素は数値データだけでは測定困難な領域です。同社はこの課題を「人の本気の思考」によって解決していると説明します。
技術革新を支える「本気の思考」とは何か
合同説明会では、**「製品づくりに欠かせないイノベーションや創造は、"人"の本気の思考からしか生み出せない」**という考え方が詳しく解説されます。この「本気の思考」という概念は、同社の人材育成方針と密接に関連しています。
「本気の思考」の具体的な要素として、以下の3つのポイントが説明されます。
1. 深掘りする執着心
問題に直面した際に、表面的な解決策で満足せず、根本的な原因と最適解を追求し続ける姿勢を指します。合説では、ウォータープルーフマスカラの開発において、従来の撥水技術では解決できなかった「皮脂崩れ」の問題を、分子レベルでの密着技術として再定義し直した事例が紹介されます。
2. ユーザー視点での共感力
製品を使用する消費者の立場に立って、その体験を深く理解する能力です。同社では、開発メンバー自身が長期間にわたって試作品を使用し、日々の使用感の変化を記録することを徹底しています。
3. 技術的実現への粘り強さ
理想的な製品仕様を技術的に実現するまで諦めない持続力です。合説では、**「簡単には"答え"にたどり着けないからこそ、ものづくりは面白いんです」**という表現で、この粘り強さの重要性が強調されます。
厚生労働省の「ものづくり人材育成に関する調査」によると、製造業における技術革新の成功要因として「従業員の継続的学習意欲」が73.2%、「問題解決への執着心」が68.5%を占めています。同社の「本気の思考」重視は、この統計データを裏付ける具体的な取り組みといえます。
合説で語られる具体的な成長実績とビジョン
株式会社ディー・アップの合同説明会では、同社の堅実な成長実績と将来への具体的な戦略が詳細に説明されます。これらの情報は、就活生が企業の安定性と成長性を判断する重要な材料となります。
売上60億円達成への具体的戦略と市場分析
合同説明会で最も注目される話題の一つが、売上高60億円達成への道筋です。同社は2024年3月期に約57億円の売上高を記録し、2025年3月期には約60億円の達成が見込まれています。この成長は一時的な市場拡大による恩恵ではなく、戦略的な取り組みの結果であることが強調されます。
具体的な成長戦略として、以下の4つの柱が説明されます。
1. 主力製品の技術的差別化
- マスカラ部門:従来比40%向上した持続性技術の導入
- アイライナー部門:速乾性と発色性を両立する新処方の開発
- つけまつげ部門:自然な仕上がりを実現する新素材の採用
- ネイル部門:短時間で高品質な仕上がりを可能にする技術革新
2. 流通チャネルの戦略的拡大
全国2万店舗という取扱店舗数は、中堅化粧品企業としては異例の規模です。合説では、この流通網構築の背景として、量販店・ドラッグストア・専門店・それぞれに最適化した商品展開戦略が詳しく説明されます。
日本チェーンドラッグストア協会の統計によると、2023年のドラッグストア化粧品売上高は前年比7.8%増の1兆2,400億円となっており、このチャネルでの存在感強化が売上向上の重要な要因として位置づけられています。
また主要であるネットショッピングには『楽天市場』やAmazon等様々なECモールに出店しております。
3. デジタルマーケティングの活用
従来のマス広告に加え、SNSやインフルエンサーマーケティングを活用したブランド認知向上策が説明されます。特に、Instagram・TikTokでのメイクアップチュートリアル動画の活用により、若年層への訴求力を向上させていることが紹介されます。
4. 製品開発サイクルの最適化
市場投入から収益化までの期間を従来の24ヶ月から18ヶ月に短縮することで、トレンドへの対応力を向上させる取り組みが説明されます。
海外展開13カ国の成功要因と今後の展開
海外13ヵ国での事業展開は、同社の国際競争力を示す重要な実績として合説で詳しく語られます。この展開は単なる製品輸出にとどまらず、各国の文化的特性に応じたローカライゼーション戦略として展開されています。
成功要因として以下の3つのポイントが説明されます。
1. 現地ニーズに応じた製品カスタマイゼーション
- アジア系市場:高湿度環境に適応した耐久性重視の処方
- 欧米市場:多様な肌色に対応した色彩バリエーションの拡充
- 中東市場:文化的配慮を反映したパッケージデザインの採用
2. 現地パートナーとの戦略的提携
独自の販売網構築ではなく、各国の有力な美容関連企業との提携により、効率的な市場参入を実現していることが紹介されます。
3. 品質管理体制のグローバル統一
各国の薬事規制に対応しながら、品質水準を統一することで、「Made in Japan」品質のブランド価値を維持していることが強調されます。
経済産業省の「海外展開企業実態調査」によると、製造業の海外展開成功率は約42%にとどまっており、13カ国での安定的な事業展開は高い成功率を示しています。
今後の展開戦略として、2027年までに20カ国への拡大と、海外売上比率30%達成という具体的な目標が示されます。特に、東南アジア市場でのさらなる展開と、南米市場への新規参入が重点戦略として説明されます。
合説で明かされる独自技術開発への情熱
株式会社ディー・アップの合同説明会において最も熱く語られるのが、同社の技術開発に対する取り組みです。単なる製品紹介ではなく、開発プロセスの詳細と技術者の思いが生々しく伝えられます。
製品開発プロセスにおける徹底的なユーザー視点
合説で特に印象的なのが、「オリシキ」シリーズの開発エピソードです。この製品は「本物のふたえの仕組みを使ったふたえコスメ」として市場で高い評価を得ていますが、その開発過程は従来の化粧品開発の常識を覆すものでした。

開発プロセスの特徴として、以下の5つの段階が詳しく説明されます。
1. 潜在ニーズの発掘(3-4ヶ月)
従来の市場調査では「ふたえ」に関する明確なニーズが見えなかったため、開発チームが直接消費者と対話を重ねました。この過程で発見されたのが、**「一重まぶたの人は、ふたえテープの不自然さに悩んでいる」**という潜在的な課題でした。
2. 技術的可能性の検証(6-8ヶ月)
生体工学の専門家と連携し、自然なふたえのメカニズムを科学的に解析。この研究により、皮膚の屈曲パターンを人工的に再現する技術の開発に着手しました。
3. 試作と改良の反復(8-10ヶ月)
100回以上の試作を重ね、使用感と効果のバランスを最適化。この段階で重視されたのが、「化粧品としての楽しさ」と「技術的な機能性」の両立でした。
4. 安全性と品質の確保(4-6ヶ月)
皮膚科専門医による安全性試験、品質管理部門による長期安定性試験を実施。同時に、薬事法に基づく承認手続きを進行しました。
5. 市場投入とフィードバック収集(継続中)
製品投入後も継続的にユーザーフィードバックを収集し、改良を重ねています。
日本化粧品技術者会の調査によると、化粧品の平均的な開発期間は12-15ヶ月ですが、同社では18-24ヶ月をかけて開発することで、より高い品質と独自性を実現していることが説明されます。
イノベーション創出のための組織体制と環境
合説では、技術革新を継続的に生み出すための組織的な取り組みについても詳しく語られます。同社の「人の思考」を重視する理念が、具体的な制度や環境整備としてどのように実現されているかが明かされます。
1. クロスファンクショナルチーム制度
製品開発において、研究開発・マーケティング・営業・デザインの各部門から選抜されたメンバーがチームを組成。異なる専門性を持つメンバーの**「本気の思考」を掛け合わせる**ことで、単一部門では生まれないアイデアを創出しています。
2. 失敗を許容する企業文化
「簡単には"答え"にたどり着けないからこそ、ものづくりは面白い」という考えのもと、実験的な取り組みでの失敗を学習機会として捉える文化が醸成されています。合説では、過去の開発失敗事例とそこから得られた学びについても率直に語られます。
3. 外部専門家との協働体制
大学研究機関、皮膚科医、材料工学の専門家などとの継続的な連携により、最新の科学的知見を製品開発に活用する体制を構築しています。
4. 現場主義の徹底
開発担当者自身が実際に製品を長期間使用し、細かな使用感の変化を記録する「ユーザー体験の内製化」を実践。これにより、数値では測れない品質の向上を実現しています。
まとめ
株式会社ディー・アップの合同説明会では、**「データやネットを駆使しただけでは、人の感性に訴えかけるような製品を生み出すことはできない」**という独自の企業哲学が強調されます。売上60億円達成や海外13カ国展開といった具体的な成長実績とともに、「人の本気の思考」を重視する採用方針が詳しく語られます。オリシキシリーズをはじめとする独自技術開発への情熱的な取り組みを理解することで、同社の真の魅力を把握できるでしょう。